アンティーク 様式 見分け
アンティークの時代様式の見分け方
脚の形と装飾の線から様式を読む。当時作と19世紀の復興期の作を分ける手がかりも解説します。
様式は「脚と装飾」から読む
西洋の様式を見分けるとき、最初に見るのは家具なら脚、器物なら装飾の文法です。時代ごとに、線の性質が違います。
- バロック(17世紀)
- 重厚で立体的。ねじれ柱、渦巻き(ヴォリュート)、深い彫刻。金彩を多用します。
- ロココ/ルイ15世(18世紀前半)
- S字に湾曲した脚(カブリオレレッグ)、貝殻(ロカイユ)や葉の非対称な装飾。丸みを帯びた胴。
- 新古典/ルイ16世(18世紀後半)
- 直線的な脚に縦溝(フルーティング)。左右対称。月桂樹、リボン、壺のモチーフ。
- アンピール(19世紀初頭)
- 古代エジプト・ローマのモチーフ。スフィンクス、月桂冠、鷲。マホガニーに金彩の金具。
- ヴィクトリアン(19世紀後半)
- 装飾が増え、様式が混在。工業化により突板と機械彫りが広がります。
- アールヌーボー(1890〜1910年代)
- 植物の曲線。有機的で非対称。ガラス・金工・家具を横断する様式運動でした。
- アールデコ(1920〜30年代)
- 直線と幾何学。クローム、ベークライト、エボニー、シャグリーン。
当時作と復興期の作を分ける
19世紀は「様式の復興(リバイバル)」の時代でした。ロココ・リバイバル、ゴシック・リバイバル、ルネサンス・リバイバル。18世紀の様式を19世紀に模して作った家具が大量に存在します。
当時作と復興期の作を分ける手がかりは、意匠ではなく作りにあります。
- 金具の鋳造——18世紀のオルモルは砂型鋳造で細部が甘く、手で仕上げた痕が残ります。19世紀の量産金具は輪郭が均一です。
- 木材の収縮——長い年月で木は乾き、板は幅方向に縮みます。天板と framework の隙間、突板の浮きが手がかりです。
- 引き出しのダブテイル——手作業のあり継ぎは一つずつ大きさが違い、機械加工は寸分たがわず均一です。
- 工具痕——手鉋の波打つ跡か、機械鉋の均一な面か。裏面や底面に残ります。
ただし19世紀のリバイバル家具にも、優れた工房の手仕事による作があります。復興期だから価値がない、ということではありません。
様式が分からなくても構わない理由
ここまで書いてきましたが、お客様が様式を判断される必要はありません。様式の見分けは専門的な照合を要する仕事で、それを行うのが当店の役割です。
この記事は、お手持ちの品がどういう文脈にあるのかを知る手がかりとしてお読みください。売却の判断材料になれば十分です。
よくあるご質問
様式が分からなくても査定してもらえますか?
問題ありません。様式の判断は当店の仕事です。脚の形、装飾の文法、金具の意匠、木材の使い方から判断します。ご自身で調べていただく必要はなく、そのままご相談ください。
ロココとルイ16世様式はどう違いますか?
線の性質が違います。ロココ(ルイ15世様式)はS字に湾曲した脚と非対称の装飾、ルイ16世様式は直線的な脚に縦溝が入り左右対称です。曲線か直線かで、まず大きく分かれます。
19世紀の復刻品には価値がありませんか?
そうとは限りません。19世紀のリバイバル家具にも、優れた工房が手仕事で作った作があります。当時作と評価は分かれますが、作りの質が高ければ評価します。復刻かどうかは金具の鋳造と工具痕から判断します。
インターネットで調べた様式名が合っているか不安です。
査定時に照合します。販売サイトの様式名は、正確でないことも少なくありません。当店では意匠だけでなく作りから判断しますので、事前の情報が違っていても問題ありません。
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